2024年7月31日水曜日

詩が英語翻訳され、インタビュー記事がこちらに掲載されました

こんにちは。
彭城吾朗(さかきごろう)です。

日本語⇔英語の翻訳スタッフを擁する米国の出版社Wolf Twin Booksが、
たまたま私の詩をネット上で読み、気に入ってくれて、
今回、

こちら

に訳詩四篇とインタビュー記事を載せてくれました。

文学で海外進出は全く考えていなかったので、
ちょっと意外な、面白い展開だなと思います。
ここからどう発展するのか。

英語を読むのに抵抗のない方、
英語得意ではないが興味を覚えた方、
ぜひ御一読ください。

2023年10月22日日曜日

愛を知るヒント

愛を知るヒント

 

 

孤独者たちの玩具としての詩、

人生を想いて涙ぐむ時、

積み重なった蒼い刹那が結果的に教えてくれた愛は、

彼らを結び付けた共有の真実だった、

猫背の君はズボンのポケットに両手を入れて、

メモ帳には夕暮れ時の悲しみの一行(ライン)が書き込まれ、

それでも最後には感謝の祈りが自然と生まれた、

抽象ではなく、

あくまで具象で哲学する、

迷いは一番奥の謎に通じて、

苦悩したことの意味に気付いた瞬間初めて人生に輪郭が付け加えられる、

愛が全てなのではなく、

愛から遠く離れた逸脱の中にこそ愛を知るヒントが眠る。



全ては繋がる

全ては繋がる

 

 

眩い七つの別種の光を順に浴びて、

解決をみた過去と新たな旅立ちの香りは嬉々として交錯し、

詩に込められた珠玉のエッセンスは神の火花を散らし、

銀河宇宙の方程式に則して身体に内部小宇宙を発生させ、

転生をいくつか経たあとの運命の再会は、

連鎖をしてまた別の人間模様に広がってゆく、

離れた土地と土地とを飛び交う霊感(インスピレーション)と共に、

足取りは軽く、人生(ライフ)は心地よい流れに乗り、

アカシャの裏の意図を知らされるまでの時間を縮める、

全てはそうして繋がってゆく。



感覚の魔法

感覚の魔法

 

 

愛ではないものを沢山抱え、

かなしき邪魔者ばかりと出会った時代、

綴る文法を朔太郎みたいにはぐらかして、

お前は何を気取りたかったのか?

昨日見た夢、

愛ではないと思っていたものの中に初めて愛を見分け、見つけ、

賢明になった分だけ過去の欲望は止揚された、

辿り着くべき場所は約束の地なのか、

それとも、

敢えて人生を失敗と設定して、前提して、

その中で貴重な何かをひっそりと学ぶのか、

答えは見えない、

見えないけれど、

研ぎ澄まされた感覚の魔法が私をあるべきところへ導いてくれる。



恋の練習曲

恋の練習曲

 

 

戸惑いと、

水色の若き過ち、

艶めかしい欲情の余韻、

女は理由(わけ)を知って、

無垢な奉仕としての恋を、

私に捧げた。



詩に書かれた男

詩に書かれた男

 

 

孤高を気取って群れから逸れ、

手にしたものへの感謝を忘れ彷徨った青春、

かつて一度は女の慰めにすがれた時代もあった、

彼女の胸元で終わりがないほどに涙を流せた夜もあった、

しかしそれも束の間、

お前は前世から引き摺った悪徳の清算のため、

結局は誰にも頼らずに答えを探し求めなくてはならなかった、

七転八倒、

伝記の中にはブルースが木魂し、

油断した心の隙に悪魔が入り込んだ、

形而上学的不倫、

溺れた夜の出来事、

人は愛から遠く離れれば離れるほどに愛を考えさせられる、

神の姿が見えず、神を恨んだ日、

書を捨て虚無と共に暮らしたアパート、

歌われない歌はないはずだった幼き日の思い出も、

心を通過し行方不明になってしまった、

そんなこんなで、

大いなる闇を胸に抱えたお前は、

詩を書くのではなく詩に書かれる日まで、

嵐が過ぎ去るのをじっと待つしか方法はなかった。



ガブリエル・フォーレに

ガブリエル・フォーレに

 

 

79年の人生の終わりに生まれた弦楽四重奏、

想いは何よりも深く、

喜びと悲しみの間の幾千もの機微に、

メロディは託され、

ハーモニーは奉仕され、

悠久の時と繋がる心の鍵は緩やかな慰めとなり、

繊細極まる音世界の内部にまた新たな音世界が存在する、

フラクタルの純真をあなたは今垣間見させた。



即興詩2023.10.22

即興詩2023.10.22

 

 

チュッパチャップス、

人生を覆した大事件、

明後日の洗濯物は風に翻る、

想いを伝えて、

ゆっくり後悔する、

楽しく感じられるレベルまで絶望に浸る、

ああ、

君は遠くでぼくを笑っている、

笑うがいいさ、

何食わぬ顔、

ナルシストが容色衰え自棄になる、

伝記は嘘で装飾される、

笑うがいいさ、

ポテトチップス、

昨日だけ機能したロックンロール、

カッコよく見えるまでカッコ悪いことをやり続けろ。



2023年10月8日日曜日

トータルバランス

トータルバランス

 

 

解凍されたアカシャに、

更なる記入がなされ、

歌は歌を呼び、

人生のデータは微熱を帯びる、

 

太古の以前に、

無思想の脱力が尊ばれ、

100%に解放された心と心は通じ合い、

全ては均衡を保った、

 

終わりが始まりであり、

始まりが終わりだった、

天国は現世と重なり合って、

いつまでもあなたを見守る、

 

過失とばかり感じていた後悔の経験に、

知らなかった別の側面があることを知らされ、

魂は救われて清らかさを思い出す。



グラデーション

グラデーション

 

 

思い出を噛みしめ尽くして、

毎日が走馬灯のような、

静かに佇む幸福に似た、

夜のひと時、

 

忘れていたのは彼女との日々、

そこには永遠の欠片(かけら)があった、

もう何も言わずに、

詩が語る神秘だけを受け入れる、

 

大人になれた心で全てを肯定する、

神が待ち望むそんな瞬間、

愛は、

諦めたとき向こうから訪れる、

 

水の流れに溶けていった、

過去の過ち、

山林に消えゆく、

心の思想、

 

形のない、

集めた宝に、

名前をつけるのはあなた。



愛は素朴

愛は素朴

 

 

愛は素朴、

ふるえるのは心、

幼な子の純真の瞳に感応した瞬間は、

またあの日の永遠へと繋がる、

懐かしさの色彩。



彼女の部屋

彼女の部屋

 

 

イタリア風の、

パステルイエローのカーテンに取り替えて、

思い出したあの奇妙な体験、

女はひとり遠国の部屋でピアノを弾き、

次元を超越して私の心を癒してくれた、

 

女が昔犯した罪、

償いは夢の中を悲しみで満たし、

鳴り響く魂の叫びは、

恋愛の重苦しいドラマに並列された、

 

輪廻が説く、

心と心の真理、

男と女の定理、

 

私がもう一度向かうべき場所は、

彼女の部屋なのか、

それとも・・・?



美と連結

美と連結

 

 

夜にやさしく、

霞みし記憶、

不思議の調べと、

いにしえの静寂に一つ、

愛を告げ去って行った、

昔の恋人、

思い出と、

遠き彼方の道のりに、

導かれたる情熱は微熱、

愛が全てを繋ぐ、

全てが愛を繋ぐ、

終わりのない弱音の霊歌は、

神が開けた次元の隙間から、

とうとうと流れゆく。



美しすぎた序章

美しすぎた序章

 

 

フェードインする薄暮の思想、

オレンジ色に浸透する追憶、

ああ、

君だけが全てだったあの頃、

私の心は塞き止めるものを失った激流で、

愛の問いに苦しむ短調の倍音だった、

そして君は去って行った、

翌年の私は失いし恋を心の片隅に置いて、

静かに、

言葉少なくひとり暮らした、

悲しみを悲しみすぎたこの心は、

やがて反転して幸福に近づいた、

 

全ては美しすぎた序章だった、

 

あの時代、

私の本当の人生が始まったばかりだとさえ、

私はまだ気づいていなかった。



印象詩

印象詩

 

 

薫る感情、

漂う思考、

枕を濡らした涙は彼女だけを想い、

大正時代のヴィンテージ写真が慰めとなる、

足取り、

街全体と一対一で対峙し崩れ落ちた青春、

コップに注いだ果実ジュース、

朝食、

あなたの過去、

ぜんぶひと混ぜにして、

人生を後ろに片付ける、

渇望と枯渇、

シェイクスピアであっても愛とは何なのか上手くは答えられないはずだ、と、

あの人は言った、

むせび泣くギターソロ、

出口のない恋、

カットアップした、

最後の詩。



悲しささえも

悲しささえも

 

 

心が経験した景色をアブストラクトに留め、

反因習主義者は孤独の穴を埋める、

思い出ばかりが止め処なく再加熱し、

涙は最愛の音楽と結ばれる、

遥か遠くにあるものだけに憧れ、

千年の眠りは一瞬の凝縮、

またあの町を過ぎれば胸いっぱいになるのか、

詩人の旅に終わりはないのか、

足音は人生の歴史を想わせる連打音、

我が身一つ振り返れば、

悲しささえも何時しか美に達する、

「永遠の女」は神の愛の扉から再び外界に出た。



太宰治に

太宰治に

 

 

業深き半神半獣、

言葉の可能性だけに賭けた魂、

カッコイイ分だけ逆説的にカッコ悪くて、

カッコ悪い分だけ潔くカッコイイ、

あの自己破滅型小説家の人間性には、

そういう形容の仕方しか思いつかないよ、

近くにいてこちらの人生に介入されたら迷惑だけど、

遠くから見ていた分には他の誰よりもインスピレーションの源泉になった、

そんな存在、

俺も、

青春の傍らで彼には随分と影響されたっけな、

彼の名は、

津島修治、

ペンネーム、

太宰治。



詩人の井上君

詩人の井上君

 

 

何分私は時間に厳しい性分で、

天才的なまでに時間にルーズだったあの関東の詩人と、

十三年前それが理由で絶縁をした、

それでも、

あいつの人間が嫌いな訳ではなかった、

あいつはどこか太宰治的な、

最高と最悪をいつも両方抱えてるような、

類まれな奴だった、

その、

「最高の部分」に、

感動させられたこともないではなかった私だった、

 

井上君、

元気か?

今でも詩は書いてるのか?



教えられた楽観哲学

教えられた楽観哲学

 

 

誰も知らない不思議な魔法、

二三日後に神に似る、

教えられた楽観哲学、

和歌詠んで、

音列を並び替え、

気持ちは今風に。



本気

本気

 

 

孤独のワープ、

言い訳しない詩、

誰も本気で遊ばない世の中で一人、

永遠の不良を貫く。



二十六年後

二十六年後

 

 

心から愛する作家たちの、

小さな文庫本だけを買い集め、

ふと気付かされた、

さりげない幸福を真摯に受け止めて、

いつしか神の恩恵を与えられて、

後悔のない人生にありがとうを告げて、

私は二十六年後にこの地球を去るだろう。



練習曲

練習曲

 

 

我ひとり、

神との距離縮め、

悟りに入りし心境、

幼児に帰る瞬間の喜びと、

世界を理解する胸の内、

すべてがある意味で予定していた通りだった、

形而上と形而下のちょうど真ん中で執筆した小説、

夢を盗んだ犯人は君、

徐々に壊れていく詩、

愛と文学、

宇宙の方程式。



遍路

遍路

 

 

長かった、

初老詩人の道草は、

敗北を喜びに変えた最初の気づき、

 

明後日ゆきます、

 

神々の朝は、

パリッとした感触の爽やかさで、

いつも何でもできそうな気分にさせる、

 

自我を消すのではなく、

見えなくなるくらいまでそれを全てに浸透させる、

 

明後日ゆきます、

 

初老詩人はまた道草を食って、

子供に負けない純粋な笑顔を手にした。



広大無辺

広大無辺

 

 

現れては消える、

プレアデスの転生が私にかけた呪文、

万物流転、

彷徨った宇宙は優しく、

全てを抱擁する広大無辺な歓喜、

メジャーセブンスの和音と共に、

君は今になって悟る、

過去はそれで完璧だったと。