雨音が演出する
雨音が演出する、
懐かしく静かな追憶の甘美、
私が欲したのはそれだけだったのだと、
ようやくにして気付かされた、
そう、
これからは、
素朴だけでいい、
素朴だけと戯れ、
終わりを待つだけでいい、
一昨日に欲情したものは、
いつか忘れ去られた悲しみの果実だった、
人生はそうして過ぎてゆく、
後悔した何かも、
後続するものに編曲されて、
そののちフェイドアウトする、
真理は一度隠すことによって尚一層の真理となる。
神秘と愛と人生への凝視
雨音が演出する
雨音が演出する、
懐かしく静かな追憶の甘美、
私が欲したのはそれだけだったのだと、
ようやくにして気付かされた、
そう、
これからは、
素朴だけでいい、
素朴だけと戯れ、
終わりを待つだけでいい、
一昨日に欲情したものは、
いつか忘れ去られた悲しみの果実だった、
人生はそうして過ぎてゆく、
後悔した何かも、
後続するものに編曲されて、
そののちフェイドアウトする、
真理は一度隠すことによって尚一層の真理となる。
壮年期
滋味と生きる、
希望と諦めとの狭間で、
東洋とは君の答えだったのか、
乱舞する青春を過ぎて、
手にしたものの儚さに涙し、
君はゲルマンの前世からの相棒に電話をかけた、
我々の傷を癒してくれる天女は何処に?
悲しみのネオン、
奇妙な足取り、
あくまで個人で、
独り身の内側のみで解決を見る、
人生とは問いかけそれ自体のことをいう。
キリストに
瞳の光に凝縮された、
未来永劫の歓喜、
それは奇跡の体現、
内奥を覗けば、
誰しもが自身に備わる、
神との縁を確認できる、
アルクトゥルス転回、
深遠なる媒介の媒介、
以心伝心は、
天使たちの言語、
計画通りの死を生きて、
私も実のところ、
その最期を目撃した者の一人だった。
1991
か細い手足と、
涙を貯めた横顔で、
あなたが伝えようとしたこと、
1991年、
もう帰らぬ美女、
それが一つの永遠になろうなどとは、
誰も知る由もなかった、
夢は儚く消えた、
青春の悔恨は錆びた銀の憂い、
「明日、全てを教えます」
その物語は、
もう無視できないほどに膨張し、
若さの脆さでは堪え切れない、
敗者たちのララバイとなった。
ある老人
ちょうど僕と同じように、
世に出ることのない貧しい自作の小説原稿を握りしめ、
背中で秋を感じさせるあの孤独の人、
どんな些細なことでもいいから、
元気づけてやりたい、勇気づけてやりたいと、
おせっかいな性格がチラと覗く、
孤独の人はある時から消息不明で、
ネット上に忘れ形見と残されたのが、
短い東洋哲学の論考で、
その晦渋な内容は、
ただ一層彼の孤独を木魂させた。
プレアデスの奉仕
きらめく朝との友情と、
天使によって導かれた人生後半の妙味、
言い過ぎてはいけない、
なんならいっそ無言でいてね、
アルバムの5曲目みたいな感じで、
さり気無く自己主張する、
次のステージを象徴するものとして、
本で読んで憧れたチベットの聖人、
被造物としての分をわきまえた願いは、
情景描写できない不良品としての僕から生ずる、
オリオンの嘆きを優しく包み込むプレアデスの奉仕。
ただ緑茶を飲むだけで
前世の耳で聞いた夕方5時の鐘の音(ね)、
パヴァーヌ、
シルヴァリームーン、
大切なのは思い出だけだったと、
老人は言った、
聖と俗の中間点で君が微笑む、
諦めではない、
願わずに手に入れた胸の内の余裕、
シルヴァリームーン、
五月雨、
愛の問いに答えられず、
ただ緑茶を飲むだけで終わった時間、
幻の恋人が、
私を見守る三千の類魂たちを引率する、
永遠の憧れが、
私を形作る細胞の全てに浸透する。
言葉遊び
多面体人間の隠された傷、
太陽と巡り合うタイミングに、
仕掛けられた爆弾のような熱愛、
「遊んでる暇はないぞ」と前時代が言う、
マルにすべきところにテンを打ち、
待ち合わせの時間より三十分早く待ち合わせ場所に着くのが癖、
誰にでも好かれる者は誰にも愛されない者と、
言ったのは誰、
奇なる美の構成要素とは?
萩原朔太郎に教えてもらった、
危険な散歩の仕方、
「二年間好きなこといっぱいやれたから、よかったんじゃないか?」
二年間働きながらバンドをやって、
故郷に帰る際にバイト先の八百屋店長が山手線の車両の中で、
そんな風に子供みたいな瞳でぼくに言った。
即興2025
きっかけをくれた同い年、
詩はミクロコスモス、
小説はマクロの果てに、
ちょっとだけ大人になった、遊び心、
不規則韻律、
字足らずの恋、
明後日の方向に、
寄り添う彷徨、
愛が悪戯した、
クリスマスケーキの謎、
電池が切れてきた置時計、
ちょっと気を緩めて、
流れに沿って。
永劫と来歴
あまりに長い年月が経ったせいで、
もうあの町を再訪しても胸が軋まなくなった、
一瞬、
まるで何か大切なものを失ったかのような気分だったが、
ある種の成長の一つなのだろうと、
楽観的に受け止めることにした。
あの頃の、あの熱病のような体験を、
分かち合った仲間たちは世界中に四散し、
もう今は生きてはいない者もいる、
神は人生を通して我々に何を教えたつもりなのか、
そもそも、
永劫のサイクルに「学び」などというものは存在するのか、
詩をしたためる喜びの中に、
平穏というものは性善説のようにきちんと初めから用意されていたということに気付かされる、
もう何も迷う必要はない、
戸惑う必要もない。
小品1
グノーシス、
愛の活動範囲、
投げて、
受け取って、
溜息つく間に失った青春と恋、
地図の中に見つからない、
人生で最も重要だった鍵、
女は男が生まれながらに授かった清潔感ある自由を羨み、
自分では詩の真実を突き止められずに29で夭折した。
こんにちは。
彭城吾朗(さかきごろう)です。
日本語⇔英語の翻訳スタッフを擁する米国の出版社Wolf Twin Booksが、
たまたま私の詩をネット上で読み、気に入ってくれて、
今回、
に訳詩四篇とインタビュー記事を載せてくれました。
文学で海外進出は全く考えていなかったので、
ちょっと意外な、面白い展開だなと思います。
ここからどう発展するのか。
英語を読むのに抵抗のない方、
英語得意ではないが興味を覚えた方、
ぜひ御一読ください。
愛を知るヒント
孤独者たちの玩具としての詩、
人生を想いて涙ぐむ時、
積み重なった蒼い刹那が結果的に教えてくれた愛は、
彼らを結び付けた共有の真実だった、
猫背の君はズボンのポケットに両手を入れて、
メモ帳には夕暮れ時の悲しみの一行(ライン)が書き込まれ、
それでも最後には感謝の祈りが自然と生まれた、
抽象ではなく、
あくまで具象で哲学する、
迷いは一番奥の謎に通じて、
苦悩したことの意味に気付いた瞬間初めて人生に輪郭が付け加えられる、
愛が全てなのではなく、
愛から遠く離れた逸脱の中にこそ愛を知るヒントが眠る。
全ては繋がる
眩い七つの別種の光を順に浴びて、
解決をみた過去と新たな旅立ちの香りは嬉々として交錯し、
詩に込められた珠玉のエッセンスは神の火花を散らし、
銀河宇宙の方程式に則して身体に内部小宇宙を発生させ、
転生をいくつか経たあとの運命の再会は、
連鎖をしてまた別の人間模様に広がってゆく、
離れた土地と土地とを飛び交う霊感(インスピレーション)と共に、
足取りは軽く、人生(ライフ)は心地よい流れに乗り、
アカシャの裏の意図を知らされるまでの時間を縮める、
全てはそうして繋がってゆく。
感覚の魔法
愛ではないものを沢山抱え、
かなしき邪魔者ばかりと出会った時代、
綴る文法を朔太郎みたいにはぐらかして、
お前は何を気取りたかったのか?
昨日見た夢、
愛ではないと思っていたものの中に初めて愛を見分け、見つけ、
賢明になった分だけ過去の欲望は止揚された、
辿り着くべき場所は約束の地なのか、
それとも、
敢えて人生を失敗と設定して、前提して、
その中で貴重な何かをひっそりと学ぶのか、
答えは見えない、
見えないけれど、
研ぎ澄まされた感覚の魔法が私をあるべきところへ導いてくれる。