観念の鳥
詩人は大人になれない大人、
夢追いかけて、
叶える前に死んでしまうのか、
詩人は形而上を飛び交う観念の鳥、
愛探し回って、
手にする前に全てを諦めるのか、
詩人は何一つ断定型でものが言えない、
ただ美しい幸福の歌だけ、
いつの日か歌いたいと願っている。
観念の鳥
詩人は大人になれない大人、
夢追いかけて、
叶える前に死んでしまうのか、
詩人は形而上を飛び交う観念の鳥、
愛探し回って、
手にする前に全てを諦めるのか、
詩人は何一つ断定型でものが言えない、
ただ美しい幸福の歌だけ、
いつの日か歌いたいと願っている。
音楽ドラマ
彷徨える夜にメランコリックジャズギター聴いて、
振り返った僕のワンパターン、
18の青春、
束の間の友情、
失恋の痛手は手書きの詩の中へと潜り込み、
涙はネオンに霞んだ仙台の街並、
ブルースは君を呼び止め、
ソウルはまだ見ぬ愛に心ときめかせ、
いつしかスタートした音楽ドラマ、
手に入れたいもの全て胸に描いたあの日、
孤独の図書館自習室、
綴った歌詞カード、
一人で演じる無敵状態、
道は未知へと続く。
小説家計画
とりあえず残したかった人生の全記録、
切り売りで小説化した記憶、
ノンフィクション、
背伸びしてフィクション、
足りない才能と自己憐憫との狭間で、
それでも流れるように原稿は書き進められた。
その詩人とは私です
天界にひとり気紛れな天使がいて、
本当は彼女の愛に相応しくないのに、
怠け者だったその詩人は彼女に見初められ、
彼女のご加護を受け、
欲しいものが全て手に入るようになった。
希望が何でも叶うようになった。
その詩人とは、
何を隠そう、
私のことです。
ある伝記
ロックンローラー失格になったお前は、
27歳で死ぬことを考え、
駅のプラットフォームから線路めがけ躰を飛び込ませようとして、
寸前で思い留まり、
命拾いをした、
その後は別人になったかのように、
かつて何よりも愛し胸焦がした音楽をきっぱり捨てて、
また別の道を歩み始めた。
君は大人になった、
いや、
さいしょから大人だった、
人生は本人には見えない幾つもの章の区分があり、
その間を跨いで、
成長ではなく変化を繰り返していく、
君は君だけの人生をフルに生きて、
君の伝記を芸術にまで高めた。
もう後戻りする必要はない。
詩人は昼寝なんかして
詩人の昼寝、
回想する意図、
十代の若者たちに届けたかった、
わが青春の記憶と記録、
単なる趣味娯楽ではなく、
君とは、
切実なる悩みを分かち合う、解き合う、
真実の友でありたかった、
明日吹く風は、
追い風か向かい風か、
詩人は昼寝なんかして、
夢から何を学び取った?
文学体験
禁欲的な日々の中で、
吉行淳之介の娼婦小説を読み、
己のミソジニーを認めながらも、
女を真剣に愛そうと努力する、
若さに特有の、
切実なる問題の答えを必死に求めながら、
太宰治の短編を読み、
芥川龍之介の短編を読み、
愛の可能性について自問する、
子供っぽい憧れと直感のまま、
萩原朔太郎ごっこをして楽しみ、
自分でも詩のようなものを書いて、
全ての人類に共通するノスタルジアに想いを馳せる。
文学する体験。
体得する美。
詩中詩 詩中詩人
太宰治は、
頻繁に小説の中で「小説」のことを語っている、
ぼくはいつもそれを読むのが好きで、
彼を真似て、
自分の詩の中でよく「詩」や「詩人」のことを語るようになった。
末路の詩人
至高の喜びから、
絶望の淵まで、
すべてを味わったあの大恋愛、
それは心の耐久度を超えた、
心が弱くなってしまった、
元・人間好きの詩人はいつしか人嫌いになり、
心の隙間を空想の友や空想の愛人で埋め尽くし、
みすぼらしいズボンを履いて、
孤独の帽子を被って、
今日も西日が沈んだあとの黄昏の路地を歩いていく。
最初で最後の長編小説
私に無限の霊感をくれた二人の女、
一人は先日、
三十年ぶりに街で偶然見かけ、
もう一人は、今は行方も知れず、
生きているかもわからない、
恋とは何なのか、
愛未満の心の遊戯または病理なのか、
因果とは何なのか、
何を我々に教えようとしているのか、
破れ果てた青春と、
狂おしいまでの性欲の落とし穴と、
重ねた思い出は長編小説の背後の鍵となって、
最初で最後の美の奇跡を空間上に生み、
ゆっくりと、
残された日々の道しるべとなってゆく。
詩人と小説家
良い意味での知らないふりをして、
ちょっとだけカッコいい位置(ポジション)に就こう、
何も悪いことじゃない、
詩人にだって許される程度の成熟ってやつさ、
良い意味での知らないふりをして、
ちょっとだけカッコ悪い役(ロール)を引き受けよう、
まさか誰かに賞賛されるかもしれない、
小説家にだからこそ与えられるミッションってやつさ。
ダイエットポエム
話せば長い沢山の理由があって、
私は最近、
長く続けた画家を辞め、
作家志望に転身した。
私の持論では、
画家ならブサイクでもデブでもかまわないが、
作家はカッコよくなければいけない。
萩原朔太郎、
芥川龍之介、
吉行淳之介、
太宰治、
あの時代のヒーロー作家たちは、
みな一様にカッコいい。
きっとまだロックスターなどがいない古い時代だから、
現代にロックスターたちが担っていることを、
当時は作家たちが担っていたのだろう。
セックスシンボルというやつだ。
そんなわけで、
今私はカッコよくなりたい。なりたくて仕方がない。
それでダイエットもしている。
しかし、
カッコよくなるという計画に関しては、
ほとんどもう絶望的。
ああ、
どうにかならないものか、
細身のイケメンになれるなら、
若死にしてもいい、
とは半分冗談だが・・・。
小説家志望ブルース
男は小説家志望だった。
二十代のいつからか、
来る日も来る日も小説執筆のことを考え、
計画を練り、
アイデアを探し、
そしてじっさいかなりの時間を執筆に費やしていた、
そうして完成した短編、中編、長編を、
いつも素早く新人賞に応募した、
だが、
長い年月を経ても、
一向に新人賞は取れなかった。
そんなある年、
半ば諦めていたときについに奇跡が起き、
積年の夢が叶って、
男は由緒ある新人賞を獲得し、
メジャーシーンから作家デビューを果たした。
ところが、
プロの小説家になってはみたが、
蓋を明ければちっとも楽しい日々ではなかった。
その理由は、
もはや立派な職業となった小説家という仕事だが、
本業の仕事ゆえに売り上げを常時心配していなくてはならず、
それはストレスだった、
おまけに書く作品の多くが編集者からボツにされるのだった。
自分が本当に書きたかった小説がボツになり、
そんなに書きたいわけでもなかった小説が採用になって出版される、
そのジレンマにも思い悩んだ。
思い返せば、
アマチュア時代は本当に自由だった、
書きたい作品を書きたいように書いて、
自分を天才だと信じ、
この作品で栄光掴んでやるぜと、
胸の中はいつも希望でいっぱいだった、
そうしていつか文学賞を取る日のことを想像しては、
どんなに痛快だろうかと夢に描いて一人酔うのだった、
アマチュアだから、
自分の傑作をボツにする編集者など傍らにはいなかった、
アマチュアだから、
誇り高い、
自らが建てた城の主(あるじ)だった。
男はそうしてアマチュア時代を懐かしみながら、
十年ばかりプロの小説家を続けて、
そのあと気持ちに限界がきてあるとき突然筆を置いてしまい、
残りの人生は普通の務め仕事をして暮らしたのだった。
プロになる幸せと、
プロゆえの不幸、
アマチュアのままの不幸せと、
アマチュアだからこその幸福。
詩は天から落ちて
シシリエンヌの優しさと、
迷えし夜の幻の鐘、
詩はふと天から落ちて、
少年は小銭を握りしめて駄菓子屋へ走る、
戻ってきた純情は、
思い出の色のニュアンスを柔らかにし、
詩は再び天から落ちて、
すれ違いに愛を呼び止めようとし、
まだ見ぬ未来の幸福の、
先払いの陶酔に涙誘われた。
全ては宇宙の約束どおり。
詩は美しく壊れてゆく
銀河の内奥、
いにしえの神の伝記、
全ての神聖なるものの母体、
あなたは何者か、
謎を解く鍵の在り処、
敗者の再加入、
お前は何者か、
日本語の行方不明、
パラドックスパンクロック、
詩は美しく壊れてゆく・・・。
芸術戦士
友達のいない芸術戦士、
デカビタチャージして今日も頑張る、
七転八倒した半生の、
喜怒哀楽を長編小説に注ぎ込んで、
いつかは栄光手にする夢見、
無意識で禁じた恋、
いつ解禁するの、
半分奉仕のユーモアとして、
人生を自らカリカチュアし、
詩を乱作、
放棄した画業、
こっそり続けてる作曲、
すべての伝記的記述を、
すべての欲望の真実を、
アートは一生涯の秘宝、
高邁な精神により、
マジョリティとは正反対の方角へ走れ。