詩に書かれた男
孤高を気取って群れから逸れ、
手にしたものへの感謝を忘れ彷徨った青春、
かつて一度は女の慰めにすがれた時代もあった、
彼女の胸元で終わりがないほどに涙を流せた夜もあった、
しかしそれも束の間、
お前は前世から引き摺った悪徳の清算のため、
結局は誰にも頼らずに答えを探し求めなくてはならなかった、
七転八倒、
伝記の中にはブルースが木魂し、
油断した心の隙に悪魔が入り込んだ、
形而上学的不倫、
溺れた夜の出来事、
人は愛から遠く離れれば離れるほどに愛を考えさせられる、
神の姿が見えず、神を恨んだ日、
書を捨て虚無と共に暮らしたアパート、
歌われない歌はないはずだった幼き日の思い出も、
心を通過し行方不明になってしまった、
そんなこんなで、
大いなる闇を胸に抱えたお前は、
詩を書くのではなく詩に書かれる日まで、
嵐が過ぎ去るのをじっと待つしか方法はなかった。
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