宝物のブルース
七転八倒してどうにかして手に入れたと思っていた宝は、
以前に持っていたものと全く同じ物だった、
A君の至上の喜びは、
B君にとっては残念賞にすぎない、
すべてに脈打つ相対性、
知れば何でも許せるのか、
授業をサボって仙台に出て、
地下歩道のベンチでひとり詩を読んでいたあの頃、
記憶、
その下の記憶、
そのまた奥の記憶、
涙の届かない領域、
仙人のように黙って暮らした三日間、
頭に描いた孤独のエッセイ、
あいつだけが理解者だった、
がむしゃらになってようやく手に入れた宝は、
昔持っていたものと全く同じ物だった。
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