機械人間
ぼくを一度かなしみの淵から救い上げてくれた君。
そんな君が最後にぼくに求め願ったものを、
ぼくは自分のエゴから、
君に与え返すことができなかった。
二人の間にギブ・アンド・テイクは成立しなかった。
そして君は去って行った。
君がいなくなったあとの銀色の街で、
ぼくは後悔という感情すらわかない、機械人間のまま、
再び一人で生きるようになった。
それでも、
二人が一時共に暮らしたアパートの近くを通り過ぎるときには、
必ず涙があふれはした。
あれから15年以上も経って、
今こうして君との思い出を詩に書きとめるときも、
ぼくは冷たい灰色の心で、
これをどうやったら上手な詩にでっちあげられるだろうかとばかり気にしている、
機械人間のままだった。
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