神秘と愛と人生への凝視
唯一の人(我が師に寄せる)
彼が、輝く奇跡の中で見、涙ぐましく慕い、恍惚の中で引き寄せられたものは、
人々が言うところの「神」ではなかった。
それは神よりも広大にして実体なき夢のまた夢、その裏の裏、
もう他のどんな名前でも呼ぶことのできぬほどに無限の、
懐かしき謎の包容力。
彼は、人々の期待に反し、その存在を「神」とは呼ばなかったばっかりに、
この俗社会の中にいて孤独なる流転の旅を余儀なくされた。
事実、彼が他の誰よりも神に近いところにいたことなど、
人には知る由もなかった。
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