神秘と愛と人生への凝視
掌編
マグカップに入ったホットミルクティー左手で飲みながら、
ぼくは徒然な気持ちで中島敦の小説を読んでいた、
それまでの人生で手に入ったものと、
手に入れたくてもそれが叶わなかったものとを、
ぼんやりと思い浮かべていた、
そして天秤にかけていた、
ぼくには人生を導いてくれる教師など存在しなかった、
ただ、
何人か愛する人がいた、
愛せる人がいた、
それだけで十分だと思った、
快晴の午前10:45、
遠くを漂う雲は陽の光を浴びて、
ぼくの人生の確かさを演出してくれていた。
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