2023年10月8日日曜日

掌編

掌編

 

 

マグカップに入ったホットミルクティー左手で飲みながら、

ぼくは徒然な気持ちで中島敦の小説を読んでいた、

それまでの人生で手に入ったものと、

手に入れたくてもそれが叶わなかったものとを、

ぼんやりと思い浮かべていた、

そして天秤にかけていた、

ぼくには人生を導いてくれる教師など存在しなかった、

ただ、

何人か愛する人がいた、

愛せる人がいた、

それだけで十分だと思った、

 

快晴の午前10:45、

遠くを漂う雲は陽の光を浴びて、

ぼくの人生の確かさを演出してくれていた。



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