2022年11月9日水曜日

15の頃

15の頃

 

 

この田舎町の、

駅のベンチに一人座り、

友人の姉に片恋していた昔々の日々を思い出していた。

あれからどれほどの時が過ぎたのか。

音のしない、

優しくもなく冷たくもない追憶の風。

男はすべてを手に入れ、

いずこかに消えた。

この田舎町は、

どんな小さなドラマも、

ただ無言で受け入れる。

彼女は男の自転車のうしろに乗って、

輝く未来へとその気高い魅力を振りまいた。

とり残されたぼくは、

ひとり詩をノートに書きとめるだけだった。



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